最近のバイクに慣らし運転が必要ないって聞いたけど本当? 慣らし運転をする/しないで何が違うの?
こんなお悩みを解決します。
新車の慣らし運転は重要な作業ですが、SNS上などで「最近のバイクには必要ない」というコメントを目にすることがあります。こうした話には根拠がなく、混乱してしまう人も多いと思います。
そこでこの記事では、慣らし運転の必要性や効果などについて解説します。
慣らし運転をすることで得られるメリット、しないことで生まれるデメリットが必ずあります。慣らし運転をさぼれば、エンジンや車体の寿命を縮めることになってしまいます。
この記事を書いている僕は、2019年夏に大型バイク(MT-07)を新車購入し、慣らし運転を完了。別の記事で紹介している方法で、エンジン性能を100%引き出せるベストな状態に仕上げました! 2021年秋までに総走行距離4万キロを超えましたが、何のトラブルもありません。
簡単に読めるので、大切な愛車の寿命を縮めたくない人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
最近のバイクに慣らし運転が必要ないはウソ?
たまにSNSやインターネット等で、
最近のバイクは高性能だから、慣らし運転なんて必要ないよ!
こんな意見を目にします。
世の中にはいろいろな意見があって、何が本当か悩んでしまいますよね。
実際、僕も2019年に新車を慣らし運転した時は、「え、そうだったの?」と少し考え込んでしまいました…
以下では、最新バイクでも慣らし運転が絶対に必要な理由について、世の中の事実をロジカルに紐解くことで不要論のウソを暴いていきます。
よく聞く不要論には、主に次の2つがあります。
- 不要論①:最近のエンジンは工作精度が上がっている
- 不要論②:慣らし運転をしなくても別に壊れない
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
不要論①:最近のエンジンは工作精度が上がっている
不要論①に関しては、次のような意見があります。
最近のエンジンは工作精度が上がっているから慣らしは必要ない!
確かに、1980~90年代などのバイクと比較すれば、自動化や技術向上等のおかげで、工作精度が上がっているのは事実です。納車直後から、エンジンが滑らかに動くようにもなっています。
しかし、だからと言って慣らし運転が必要ないわけではありません。
新車で初回のオイル交換をするとわかりますが、金属粉がたくさん出てオイルが真っ黒になっています。
※写真はイメージ
こんなに黒くなるほど金属粉がたくさん出る納車直後のエンジンを、慣らし運転なしでいきなり全開走行して、大切な愛車のエンジンにダメージを与えたいですか?
いくら工作精度が上がっていても、納車直後はエンジン各部がなじんでおらず金属粉がたくさん出ます。こうした汚れはエンジンにとってよくないものなので、回転数を一定以下に抑える慣らし運転が必要です。
僕がお世話になっているバイクショップの店長いわく、「新車エンジンには、市場に流通していない特別なオイルが入っている」ようです。
たくさん金属粉が出るので、それをしっかり吸収する特別なオイルだそうですよ。
不要論②:慣らし運転をしなくても別に壊れない
不要論②に関しては、次のような意見があります。
慣らし運転をしなくても別にエンジン壊れない!
確かに、最近のバイクで「慣らし運転をしなかったからエンジンがすぐダメになった」などと聞いたことはありません。
しかし、だからと言ってならし運転が必要ないわけではありません。
購入したバイクの取扱説明書を見るとわかりますが、そこには必ず慣らし運転に関する記載があるはずです。
よく見ると、「慣らし運転は寿命を延ばす」などと書かれています。
つまり、バイクメーカーが公式に、
慣らし運転したほうが、バイクの寿命を延ばせるよ!
ということを言っているのです。
最近の国内メーカーのバイクは品質が高く、なかなか壊れにくいものですが、機械には必ず寿命があります。
慣らし運転なしでいきなり全開走行して、大切な愛車の寿命を縮めたいですか?
バイクが好きなら、メーカーが推奨しているように、ちゃんと慣らし運転をして愛車の寿命を延ばしたいですよね。
実は国内バイクメーカー4社でも考えが若干異なっていて、慣らし運転に対する姿勢も違います。比べてみると結構面白いですよ。そうした話は、以下の関連記事でまとめています。
このとおり、最新のバイクでも慣らし運転が必要な理由がわかりましたよね。
不要論に惑わされず、慣らし運転がバイクの寿命を延ばすという事実をもとに、慣らし運転の必要性を理解しましょう。
バイクの慣らし運転で生まれるよい効果って何?
次に、慣らし運転をすることで生まれるよい効果についても解説します。さまざまな効果がありますが、2つ紹介します。
- 効果①:部品がよくなじみ上質なエンジン・車体に仕上がる
- 効果②:エンジンの寿命が延びる
効果①:部品がよくなじみ上質なエンジン・車体に仕上がる
慣らし運転をすれば、各部品がよくなじみ上質なエンジン・車体に仕上がります。
いわゆる「アタリ」のついたエンジン・車体になるというわけですね。アタリのついたよいエンジンは、本来の性能を十分に発揮させられるようになります。
せっかくなら、愛車が持っている可能性を100%引き出せるようにしてあげたいですよね。
慣らし運転をしないばかりに、愛車の可能性を殺してしまうのはとても悲しいことです。
効果②:エンジン・車体の寿命が延びる
メーカーが公言しているとおり、慣らし運転をすれば、エンジン・車体の寿命が延びます。
指定回転数以下に抑えた穏やかな運転をすることで、エンジンにアタリがつき、より長期使用に耐えられるようになります。
加えて、サスペンションやブレーキ、チェーン・スプロケットなどの各パーツもよくなじみ、寿命が延びます。
バイクライフを楽しむのであれば、絶対にこの効果を手に入れたうえで、よりよいものにしたいですよね。
バイクの慣らし運転をする/しないメリット・デメリット比較
最後に、慣らし運転をする場合としない場合のメリット・デメリットを比較してみましょう。
メリット・デメリット比較表
まずは、ここまでの話をまとめたうえで、それぞれのメリット・デメリットを比較する表を見てみましょう。
スマートフォン等は横にスクロールして見てください。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
慣らしをする | ・部品がよくなじみ上質なエンジンや車体に仕上がる ・エンジンや車体の寿命が延びる ・愛車のことを深く理解できる | ・慣らしが終わるまでは高負荷走行できない |
慣らしをしない | ・はじめから高負荷走行を楽しめる | ・エンジンや車体本来の性能を損なう ・エンジンや車体の寿命を縮める ・愛車のことを深く理解できないままになる |
慣らし運転をする場合のメリットは、「上質に仕上がる」「寿命が延びる」など、さきほど述べたとおりですね。
「愛車のことを深く理解できる」とは、慣らし運転中に愛車とじっくり対話を重ねることで得られるメリットです。
慣らし運転をするということは、ただパワーを抑えて走るということではありません。各部に意識を向けて愛車と対話する行為そのものです。
そうした対話を通じて、
このバイクには、こんな基本性能が備わっているのか!
こんな感じの使い方が、このバイクには最も合いそうだな
ということがわかるようになります。
愛車の設計思想を知り、そのバイクの本質を深く理解できたほうが、よりよいバイクライフを送れますよ。
慣らし運転をする場合のデメリットは、慣らしが終わるまでは高負荷走行できないという点です。
しかし、そんなものはたった1,000kmか1か月程度の間だけです。
この先、何万キロも長く愛車と付き合っていきたいのであれば、大した問題ではないと認識できますね。
慣らし運転をしないとデメリットだらけ
慣らし運転をしない場合のデメリットは、たくさんあります。
まず、エンジン・車体が持つ本来の性能を損ないます。100%の力を引き出すことが難しくなってしまうわけです。
次に、エンジン・車体の寿命を縮めます。慣らし運転をすれば寿命が延びるのですから当然ですね。本来持っている寿命の一部を殺してしまうわけです。
そして、愛車のことを深く理解できないままになるデメリットもあります。本来なら、慣らし運転中に交わされるはずの対話がないので、そのバイクの本質を理解するのに劣ります。
慣らし運転をしない人は、例え何万キロ乗ったとしても、そのバイクの本質を真に理解する境地には到達できないと思います。
また、慣らし運転をしないことのメリットは、はじめから高負荷走行を楽しめることです。
ただ、これをメリットとして享受できるのは、走行距離0km~1,000kmまたは1か月の間だけです。慣らし運転する人は、その期間が過ぎたら普通に高負荷走行できますからね。
この先、長く愛車と付き合っていくうえで、たった1,000kmや1か月のためにエンジン・車体の可能性を犠牲にしたいですか?
慣らし運転をしなければ、デメリットだらけです。目先の欲に惑わされる必要はありません。未来を踏まえた長期的思考で、余計なリスクは回避しましょう。
まとめ:ちゃんと慣らし運転をして上質なエンジン・車体に仕上げよう!
ここまで、慣らし運転の必要性と効果、メリット・デメリットについて、解説してきました。
根拠のない周りの意見に惑わされずに、自身をもってちゃんと慣らし運転をすることで、あなただけの上質なエンジン・車体に仕上げていきましょう。
バイクのことを理解しようと愛車の声に耳を傾けながら、じっくりと対話を重ねてみてくださいね。
慣らし運転が完了すると、いよいよ本格的なツーリングがはじまります。
以下の関連記事では、ツーリングに最低限必要な持ち物、あると便利な装備などを紹介しています。
準備不足で困らないよう、遠出の前に確認してみてくださいね。チェックリスト形式で簡単にわかりますよ。
そのほかにも、慣らし運転の正しい方法や、終わったらやるべきことなどについて解説した記事もありますよ。