メーカーや車種別に慣らし運転のやり方は違うの? 人気車種の慣らしのやり方が気になる!
こんなお悩みを解決します。
国内4大バイクメーカーの慣らし運転の違いについて、取扱説明書を使って解説します。
人気車種やスーパーバイクなどそれぞれ違いがあり、必見の内容です。
それぞれの違いややり方を見ることで、慣らし運転の本質について理解できるようになります。本質がわかれば、どんなバイクでも絶対に失敗しませんよ。
この記事を書いている僕は、2019年夏に大型バイク(MT-07)を新車購入し、慣らし運転を完了。以下の関連記事で紹介している方法で、エンジン性能を100%引き出せるベストな状態に仕上げました! 2021年秋までに総走行距離4万キロを超えましたが、何のトラブルもありません。
慣らし運転についてもっと深く知りたい人や、人気車種の慣らしのやり方が気になる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ヤマハYZF-R1の特殊な慣らしについても触れています。
各バイクメーカーで慣らし運転のやり方に違いはあるのか?
同じ日本のバイクメーカーといえども、慣らし運転のやり方は全く同じというわけではありません。
ここでは、次の3つのポイントについて解説します。
- 共通部分も多いが、条件や定義が若干違う
- 慣らし運転って結局何? その本質を探る
- メーカー公表資料から探る、慣らし運転の定義と効果
一つずつ、比較しながら見ていきましょう。
共通部分も多いが、条件や定義が若干違う
オーナーズマニュアルやウェブサイトに記載の情報をもとに、各社の慣らし運転の定義についてまとめてみます。
文字(テキスト)になおすために、一部文言を調整していますが、メーカー公式資料から引用しています。※順不同
ホンダの慣らし運転
適切な慣らし運転を行うと、お車の性能をより良い状態に保つことができます。慣らしのポイントとして、走行距離500kmまで、急発進、急加速をさける。急ブレーキ、急なシフトダウンをさける。控えめな運転をする。
ヤマハの慣らし運転
初回1か月目(または1,
000km走行時)の点検までは、ならし運転をしてください。ならし運転中はエンジン回転数を●●r/min以下で走行してください。不要な空ぶかしや急加速、急減速はしないでください。ならし運転を行うと車の寿命を延ばします。
※●●は車種によって異なる
スズキの慣らし運転
ならし運転を行うと、お車の寿命を延ばします。最初の1,000kmを走行するまでは、エンジン回転●●r/min以下で走行してください。新しいタイヤはスリップしやすいので、車を深く倒さないでください。倒す角度は徐々に大きくしてタイヤをならしてください。不必要な空ぶかしや急加速、急減速、急ハンドル、急ブレーキは避けてください。
※●●は車種によって異なる
カワサキの慣らし運転
最初の●●kmを走行するまではエンジン回転速度●●以下でならし運転をしてください。ならし運転を行うと、車の性能を維持し寿命を延ばします。必要に応じて一時的に制限回転速度を超えることは問題ありません。不必要な空吹かし、急加速、急減速はつつしんでください。法定速度を守って走行してください。
※●●は車種によって異なる
見てわかるとおり、共通部分も多いですね。一方で、ほかには見られない点を言及しているメーカーもありますね。
なんとなくわかったような気もしますが、さらに分析が必要ですね。
慣らし運転って結局何? その本質を探る
先ほどの各社の慣らし運転の定義を、以下の比較表にまとめます。
そこから、「慣らしとはいったい何なのか」という本質を探ってみようと思います。スマートフォン等は横スクロールして閲覧可能。
ホンダ | ヤマハ | スズキ | カワサキ | |
---|---|---|---|---|
走行距離制限 | ||||
回転数制限 | ||||
空ぶかし制限 | ||||
急加速制限 | ||||
急ブレーキ制限 | ||||
寿命延長 | ||||
バンク角制限 | ||||
法定速度順守 |
走行距離制限については、各社とも言及しています。ホンダは500km、ヤマハ・スズキは1,000kmとする一方で、カワサキは排気量別に1,000km~1,600kmとしています。
回転数制限については、ホンダだけ言及していませんね。カワサキは他と違い、走行距離に応じた段階的な回転数制限を推奨しています。
空ぶかし制限についても、ホンダだけ言及していません。控えめな運転をするようには言っていますが。
急加速・急ブレーキ制限については、各社とも言及しています。
慣らし運転が寿命を延ばすと公言しているのは、ヤマハ・スズキ・カワサキの3社です。この点、ホンダは「お車の性能をより良い状態に保つ」としています。
4社のうち、バンク角について唯一触れているのが、スズキです。タイヤも慣らし運転のうちに入ると明確に示しているのでしょう。
カワサキは、法定速度についても触れているのがユニークですね。安全運転で慣らしを楽しむよう、促しているのかもしれません。
4大メーカー公表資料から探る、慣らし運転の定義と効果
それでは、慣らし運転の定義とその効果についてまとめます。
- 定義:一定距離の間、急のつく運転をさけ穏やかに車を運転すること
- 効果:性能をより良い状態に保ち、車体の寿命を延ばす
これで、慣らし運転について整理できました。
ついでに、各社の取扱説明書をもとに、慣らし運転に関する実際の説明を見ていくことにしましょう。
ここでは、2019年の新車販売台数を参考にしながら、独断と偏見により各社現行人気車種※を3つずつピックアップしました。
※2020年5月時点
HONDA車の慣らし方:走行距離短めでサクッと
その①:CB650R/CBR650R
大型バイク スーパースポーツ
その②:CB400SF/SB
400CC ネイキッド
その③:レブル250
250cc クルーザー
YAMAHA車の慣らし方:エンジン型式や特性に応じて
その①:MT-09/SP
大型バイク ネイキッド
その②:SR400
400cc ヘリテージ
その③:YZF-R25/MT-25
250cc スポーツ
番外編:YZF-R1
大型バイク スーパースポーツ フラッグシップモデル
ヤマハのスーパースポーツ車YZF-R1は、「サーキット最速」を目指してつくられた超高性能モデル。
レースで戦うためにつくられたエンジンの慣らし運転が、その他の市販モデルと同じはずがありません。
と思って、いろいろ見ていたところ、面白い資料を見つけたのでおまけとして紹介します。原文が英文なので、翻訳してみました。
エンジンが真新しいので、走行距離1600kmまではエンジンに過度の負荷をかけないでください。エンジン内のさまざまな部品が摩耗して、クリアランスが適切な状態になります。
この期間中は、長時間のフルスロットル操作や、オーバーヒートを引き起こす可能性のある状態は避けてください。
【0km-1,000kmの間】
回転数が7,000rpmを超える長時間の操作は避けてください。走行距離が1,000kmになったら、エンジンオイルとオイルフィルタ(エレメント)を必ず交換してください。
【1,000km-1,600kmの間】
回転数が8,400rpmを超える長時間の操作は避けてください。
【1,600km超】
通常どおり運転できます。
通常ヤマハ車の慣らし運転は1,000kmですが、YZF-R1は1,600kmまでとなっていますね。加えて、1,000kmまでと1,600kmまでの2段階で、エンジン回転数に制限を設けています。
レース用に開発されたエンジンなので、本来の性能をちゃんと発揮できるように、丁寧な慣らしが求められるのでしょうね。
SUZUKI車の慣らし方:バンク角にも言及
その①:KATANA/GSX-S1000&F
大型バイク ネイキッド
その②:Vストローム1050/XT
大型バイク アドベンチャー
その③:V-STROM250
250cc アドベンチャー
KAWASAKI車の慣らし方:排気量別に手順あり
その①:Z900RS/CAFE
大型バイク ネイキッド
その②:Z400/NINJA400
400cc ネイキッド
その③:Ninja250/Z250
250cc スポーツ
まとめ:取説を見て車種別のポイントを押さえよう
以上ここまで、各社人気モデルの慣らし運転について紹介してきました。
メーカーが違えばやり方が変わるのはもちろん、同メーカーでもモデルが違えば慣らしのポイントが変わるのがわかりますね。
慣らし運転をするときは、しっかりと取扱説明書を確認して、車種別のポイントを押さえるようにしてくださいね。
(この記事の最後に参考リンクを貼ってます)
慣らし運転が完了すると、いよいよ本格的なツーリングがはじまります。
以下の関連記事では、ツーリングに最低限必要な持ち物、あると便利な装備などを紹介しています。
準備不足で困らないよう、遠出の前に確認してみてくださいね。チェックリスト形式で簡単にわかりますよ。
そのほかにも、慣らし運転の正しい方法や、終わった後にやるべきことなどを解説した記事もありますよ。
各メーカーの取扱説明書は、ウェブで簡単にダウンロード可能。気になるあの名車の取説を見てみるのも面白いですよ。
以下のリンクから、各メーカーのバイクの取扱説明書をダウンロードできます。