新型コロナウイルス感染拡大の影響で、電車・バス等の公共交通機関の利用を避ける動きが広がっています。そんな中、三密(密閉・密集・密接)を手軽に回避することができる「バイク通勤」がいま注目されています。
今回は、「これから新たにバイク通勤を始めよう」としている人に向けて、バイク通勤のメリット・デメリットやバイク通勤をスタートするのに必要なこと、初期費用・維持費用などを紹介します。
このページを見れば、「バイク通勤をはじめるのに何をすればよいか」がすべてわかりますので、ぜひ参考にしてみてください。
バイク通勤は三密を避けるコロナ対策におすすめ!
コロナ対策として在宅勤務やテレワークが呼びかけられていますが、医療従事者など仕事によっては、どうしても出社・通勤しなければならない人たちもいます。
そのような人が電車・バス通勤を強いられている場合は、感染リスクの高い三密の状況に身を置かなければならず、毎日強い不安とストレスを感じてしまいます。
そうした現状を打開するための解決策として、いま注目されているのが「バイク通勤」。クルマと違って、低コストで手軽に始められるなどの理由を中心に、通勤手段としてバイクを利用する人たちが増えています。
報道によると、2020年3月の国内出荷台数は3万6800台となり、前年同月比で7.3%も増加しているそうです。
二輪車の販売が増えている。3月の国内の出荷台数は前年同月比7.3%増の3万6800台となり、同月として3年ぶりに増加した。新型コロナウイルスの感染拡大で公共交通機関を避ける動きが広がり、通勤などに使うため二輪車を買い求めている人が増えているようだ。乗用車の販売が落ち込むなか、二輪車の底堅さが目立っている…
4/19付 日本経済新聞
通勤を余儀なくされて毎日感染リスクにさらされている人に向けて、ぜひバイク通勤をおすすめしたいと思います。バイク通勤は単なるコロナ対策だけでなく、実はお財布にも優しいなど様々なメリットもあるからです。
電車通勤と比較したバイク通勤のメリット・デメリット
ここからは、実際にバイク通勤(通学)と電車通勤の両方とも経験したことのある実体験をもとに、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
細かく挙げればたくさんあると思いますが、主に一般的なものやコロナ対策時のものにフォーカスしています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
電車 通勤 | ・天候・気温に左右されにくい ・多くの場合ダイヤ通りに運行される | ・三密でコロナ感染リスクが高くストレスフル ・時に大幅な遅延が生じる ・帰宅時の買い物は駅近と自宅近辺に限られる |
バイク 通勤 | ・コロナ感染リスクが低くストレスフリー ・渋滞に強く遅延が少ない ・帰宅時の買い物の自由度が高い | ・天候や気温の影響を大きく受ける ・交通事故に遭ったとき大ダメージになりやすい |
バイク通勤のメリット
コロナ感染リスクが低くストレスフリーである
まずはなんと言ってもこれです。三密を避けられコロナ感染リスクが低いので、ストレスフリーで精神衛生上健康です。いまバイク通勤を検討されている人にとって、最も大きなメリットだと思います。
通勤時間帯の電車内はまさに三密で、逃げ場がありません。僕は実際に両方住んだことがあるからわかるのですが、東京や大阪などの大都市の電車内では、常に誰かと身体が密接した状態になります。
バイク通勤では、自宅から勤務先まで誰とも密接することなく移動可能です。電車だと通勤自体大変で、仕事を始める前から疲れてしまうことも多いものです。バイク通勤はそうした不毛な疲れとも無縁です。
渋滞に強く遅延が少ない
バイクはクルマよりも小回りが利くので、仮に渋滞に巻き込まれたとしても、「抜け道・まわり道」や「すり抜け」がしやすく、結果として遅延しにくい乗り物です。
抜け道・まわり道をするには、その地域の道路事情にある程度慣れている必要があります。日頃の運転などで通勤路の近辺を走行した経験がなければ、最初のうちは抜け道・まわり道は避けた方が賢明。道に迷う可能性もあり、かえって遅延することにつながります。
すり抜けとは、道路上でバイクがクルマの脇を走り抜けていくことです。街中でスクーターが道路の左脇をブーンと走っていくアレです。このすり抜けですが、道路交通法的にはグレーだそうで、違反でつかまる可能性も。また、すり抜けには危険が伴い、事故の原因ともなるので実際やるのは避けた方がよいでしょう。通勤のスクーターなどでよく見ますが、個人的にはおすすめしません。
都心の通勤時間帯は特に渋滞が発生しやすいものですが、バイクなら渋滞に強く安心ですね。一方で、電車はダイヤ通り正確に運行されますが、時に人身事故等で大幅な遅延が生じる場合があります。電車ほどの正確さはありませんが、バイクも十分遅延しにくい乗り物です。
帰宅時の買い物の自由度が高い
バイク通勤だと、郊外の大型スーパーなどにも買い物で気軽に立ち寄ることができます。電車通勤の場合だと、最寄駅近くや自宅近辺に限られてしまい、そうした店舗では多くの場合常に混雑しています。
バイクだとどこにでも行けるので、ソーシャルディスタンスを保てる大型店舗に行って安心して自由に買い物ができます。また、多くの通勤用バイクは積載性にも優れていて、スーパーのレジ袋2つ分ぐらいは余裕で輸送可能です。
いま推奨されている「3日に1回の買い物」も、バイクでの輸送なら実現可能です。これが電車通勤だと、大量の荷物を手で持ち運ぶことになるので、身体に負担がかかって難しいと思います。仕事後の疲れた身体で、大量の荷物を自宅まで持ち歩きたい人などいるのでしょうか…
バイク通勤のデメリット
先にメリットを見てきましたが、当然デメリットもあります。
天候・気温の影響を大きく受ける
公共交通機関と比較した場合、最も大きなデメリットはこれだと思います。バイクは身体むき出しで乗る乗り物なので、天候や気温の影響をもろに受けます。
- 雨の日は直接雨に打たれる
- 夏は汗でヘルメット内が蒸れて髪型が乱れる
- 冬は風が冷たく寒い
このような点がバイク通勤の辛いところです。ただ、雨具を用意したりちょっと工夫したりすることで、どれも解消可能な問題なので、バイク通勤を諦めるほどの理由にはなりませんよ!
交通事故に遭ったときにダメージが大きくなりやすい
もう一つのデメリットとしては、交通事故に遭った場合に身体的ダメージが大きくなりやすいことです。身体むき出しで乗る以上、避けられないリスクですね。
ただ、こうした危険性を減らすために、ヘルメットやグローブ、プロテクターなどの装備がちゃんと販売されています。万が一の事故に備えて、責任ある一人の大人として、しっかりと安全装具を身につけることをおすすめします。
また、そもそも世の中に危険でない乗り物などありません。バイクでも、安全運転で常に周囲に気を配っていれば、相当程度危険性を減らすことは可能だと思います。
バイク通勤をはじめるのに必要なことすべて
もちろんデメリットもありますが、それを補って余りあるほどのメリットがあるバイク通勤。コロナ対策にうってつけのバイク通勤の魅力を理解したところで、実際にバイク通勤をはじめるために必要なことを見ていきましょう。
まずは会社に相談し、事前許可をもらっておくのがよいでしょう。交通費が支給される場合、どこまで負担してもらえるかも確認しておきましょう。
会社によってバイク通勤を禁止している場合もありますが、いまの状況を考慮すると、会社側もコロナ対策として特例で認めざるを得ないでしょう。「うちの会社は禁止してるから…」と諦めないでくださいね!
晴れてバイク通勤するのが決まったら、いよいよバイクを買うときです。通勤用バイクは各メーカーから様々な種類が販売されていて、初めて買う人は悩んでしまうと思います。
バイクに乗るには、まず自賠責保険に必ず加入しなければなりません。加えて、自賠責ではカバーできない範囲があるので、任意保険にも加入しましょう。
自動車保険に加入している場合は、125cc以下のバイクであれば「ファミリーバイク特約」が使えてお得です。新規加入であっても、いまはネット保険も充実していますので、申込・加入の手続きはWEB上で簡単に行えますよ。
バイクの運転にはヘルメット装着が義務付けられています。必ず必要なヘルメットに加えて、グローブやレインスーツなども事前に購入しておきましょう。
初めての人は、「何を買えばよいかわからない…」と悩むこともあるかと思います。
バイク通勤スタートに必要な初期費用と維持費用
バイク通勤のはじめ方がわかったところで、気になる予算・費用について一例を紹介します。ただ、これはあくまで例ですので、実際に必要となる金額は一人ひとり異なります。
試算に使うバイクは50ccまたは125ccを想定しています。そのあたりは、あなた自身の状況等を考慮しながらうまく読み取ってくださいね。
初期費用
まずは、実際にバイクに乗り始めるまでにかかる金額=初期費用を見てみましょう。
車両本体:100,000円~350,000円
バイク装備品:20,000円~30,000円
自賠責保険料:24か月 8950円
任意保険料:年間 10,000円~20,000円
免許取得費:原付 7550円~小型二輪 90,000円
合計:146,500円~498,950円
かなり幅がありますが、「最安15万円」前後~「こだわり50万円」前後と考えています。
「50cc(原付)の中古車でいいから、手っ取り早く低コストではじめたい」という場合は15万円前後と見積もりました。
「125cc(小型二輪)の新車を買うために新たに免許も取った」という場合は50万円前後と見積もりました。
ほかにも無数のパターンがあるかと思います。免許取得費ですが、普通自動車免許を持っていればそれで原付に乗れるので、たいていの人は原付免許の取得費は必要ないでしょう。すでに小型二輪・普通二輪を持っている人は、免許取得費は0円ですね。
バイク免許の種類と費用がぜんぶわかる!年齢制限と期間、最初のおすすめも紹介維持費用
次に、バイクに乗り続けるのに必要な金額=維持費用を見ていきましょう。
軽自動車税:年間 2,000円(50cc)~2,400円(125cc)
自賠責保険料:24か月 8,950円
任意保険料:年間 10,000円~20,000円
ガソリン代:年間 15,000円
駐輪場代:年間 36,000円
メンテナンス代:年間 10,000円(50cc)~20,000円(125cc)
合計:年間 77,475円~97,875円
※1年あたり
任意保険料にもよりますが、原付(50cc)であれば年間で約7.7万円、小型二輪(125cc)であれば年間で約9.7万円と見積もりました。
軽自動車税は、毎年4月1日時点の車両所有者に課税されます。排気量に応じて課税され、50ccは2,000円、125ccは2,400円です。
自賠責保険料と任意保険料は、初期費用で支払っていれば、その分は差し引いた金額が実質の維持費用になりますね。
ガソリン代は、①自宅⇔勤務先の距離を往復20km、②年間出勤日数を240日、③実燃費はガソリン1リットルあたり40km走行、④ガソリン価格は125円/リットルの条件で試算しました。
「4800km(240日×20km)÷40km(実燃費)×125円=15000円」
近年の通勤用バイクは燃費が向上しており、実燃費で40km程度は走ります。
駐輪場代は、公営駐輪場を1か月3000円で賃借したと想定しています。バイク用駐輪場について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
バイク置き場が自宅にない問題を解決。月極駐車場を探す方法5つと料金相場を紹介メンテナンス代は、年間で50ccは1万円~125ccは2万円と想定しています。内訳はざっくりですが、オイル交換、定期点検、バッテリー交換、プラグ交換、タイヤ交換、エアクリーナー交換などを適切なタイミングで行ったものとしました。
自宅から勤務先までの距離によってガソリン代が変わったり、駐輪場代が不要だったりと、人によってはこの試算金額から上下すると思います。自身の状況にあてはめてみたとき、あなたはこの費用を高いと見ますか? それとも安いと見ますか?
個人的には、コロナ感染リスクを大幅に低減したり、通勤以外にも便利だったりということを考えると、トータルで考えたときには「お財布に優しくお得」と考えます。
おわりに:バイク通勤で新しい生活様式をはじめよう!
以上、コロナ対策としてのバイク通勤についてお伝えしてきました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
コロナウイルス対策が長期戦になると予想される中、これまでのライフスタイルを変えて「新しい生活様式」を実践していくことが求められています。
バイク通勤は、その第一歩を踏みだすための最適解となり得ます。難しいことは何一つありません。毎日の通勤に潜む感染の恐怖から解放されて、バイク通勤でストレスフリーな日常を手に入れてください。