MT-07のオイル交換の方法・手順は? どんな工具・道具が必要? 適正オイル量って何リットル?
「ヤマハ MT-07」の現役オーナーが、こんな疑問を解決します。
MT-07での初めてのオイル交換や久しぶりの作業だと、気になることがたくさんありますよね。僕自身、オイル交換のたびにあれこれ調べ直していました。
そこでこの記事では、これだけ読めばぜんぶわかるように、MT-07のオイル交換についてまとめました。
主に以下の3点について、解説していきます。
- 準備:オイル交換に必要な道具
- 実例:オイル交換の方法・手順を写真解説
- 感想:指定オイルの体感効果をレビュー
この記事を書いている僕は、MT-07を新車購入してから2年間で4.2万キロ以上走行した現役オーナーです。その中で10回超のオイル交換を自分で行い、絶対に失敗しないノウハウを身につけました。
失敗しないMT-07のオイル交換方法が絶対にわかるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
MT-07エンジンオイル交換の基本情報
適正オイル量
MT-07の適正オイル量は、以下の説明書のとおり「通常時2.3L」「フィルター交換時2.6L」です。
- 通常時:2.3リットル
- オイルフィルター交換時:2.6リットル
指定推奨エンジンオイル
MT-07の指定推奨オイルは、YAMAHA純正の「ヤマルーブ プレミアムシンセティック」です。
オイル交換の時期
MT-07のオイル交換時期は、一般的なものと同じで「3,000~5,000kmに1回、または6か月間に1回」です。
僕はいつも4,000km前後で交換していますよ。おかげで、新車時からエンジンはいい状態を保ち続けていますね。
MT-07のオイル交換に必要な道具
次に、MT-07のオイル交換に必要な道具について解説しますね。
MT-07には2014~17年式、2018~20年式、そして2021年式以降と大きく3つのモデルがありますが、搭載エンジンは共通ですので、準備すべき道具は変わりません。
- エンジンオイル
- 廃油処理箱
- オイルフィルター
- 工具・ツール
- その他の道具
それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。
エンジンオイル
新しく入れるエンジンオイルを用意しておきます。先ほど紹介した指定推奨オイル「プレミアムシンセティック」を用意しましょう。
この4L缶のコスパが非常に高いので、いつもこれを愛用しています。最高性能の「ヤマルーブ RS4GP」と使い比べましたが、性能的にはプレミアムシンセティックで十分ですね。
廃油処理箱
古いオイルを排出するための廃油処理箱も用意します。MT-07のオイル量は2.3~2.6リットルなので、処理箱にはそれ以上の容量が必要です。
おすすめは、ごみ処理が簡単で一般ユーザーに人気の、エーモン ポイパック。
僕はフィルター交換する/しないに関わらず、4.5L対応のポイパックを使います。値段もそんなに変わりませんし、余裕があるほうが作業しやすいですからね。
オイルフィルターとフィルターレンチ
フィルター交換時は、オイルフィルターが必要です。オイル交換2回に1回はフィルター交換が必要なので、持っていない場合は早めに入手しておきましょう。
オイルフィルターの交換には、64mmの「オイルフィルターレンチ」が必要です。
オイル交換に慣れていない方や初めての方はフィルターをなめやすいので、つくりのしっかりしたものを用意するのがポイントです。
工具・ツール
ドレンボルトやオイルキャップを外すための工具・ツールが必要です。以下の2つは必須なので、必ず用意しておきましょう。
- 17mmのメガネレンチまたはスパナ
- プライヤ
17mmメガネレンチまたはスパナ
ドレンボルトを外したり締めたりするのに使います。ボルトをなめないためには、メガネレンチがベストです。メガネレンチをスパナもどちらも持っていない場合は、メガネレンチを買いましょう。
プライヤ
オイルキャップを脱着するときに使います。なくても何とかなるかもしれませんが、力づくで外したり締めたりするとキャップがこわれやすいです。
上記のメガネレンチとプライヤは、ホームセンターなどでも入手可能ですが、MT-07の整備には以下のようなまとまったツールセットがおすすめです。
これだけあれば、オイル交換はもちろん、レバー交換やミラー調整、シフトペダル・ブレーキペダル位置調整も可能です。
日常の整備はもちろん、ロングツーリングで何かあった場合の緊急処置にも使えるので、持っているだけで安心感が違います。実際に、11日間の北海道ツーリングや8日間の四国ツーリングでも重宝しました。
ドレンボルトとワッシャー
ドレンボルトは2回に1回、ワッシャー(パッキン)は毎回新品に交換しましょう。ワッシャーは、ボルトの隙間を埋めて密着させ、ゆるみ止めの役割を担っています。
交換せずに使いまわしをしていると、隙間が空いてオイル漏れの原因になります。 安価な部品なので、ケチらずにあらかじめ複数個まとめ買いしておきましょう。
その他の道具
その他には、以下のような道具も必要です。
- 軍手・手袋
- ウェス
- オイルジョッキ、じょうご
軍手・ウェス
軍手やウェスがあると、手が汚れるのを防げるので作業が捗ります。エンジンオイルで火傷してしまうのも防いでくれます。
オイルジョッキ
また、オイルを注ぎ入れるのにオイルジョッキも必要です。もし持っていない場合は、100円ショップで買えるじょうご等でも代用可能。
初めての人は少し大変かもしれませんが、実際の作業の前に必ず以上の道具を準備しておきましょう。
ちなみに、MT-07オイル交換のタイミングは、「3,000~5,000kmに1回」または「6か月に1回」のどちらか早い方ですよ。
MT-07のオイル交換方法・手順
ここからは、MT-07オイル交換の方法と手順を紹介していきます。大まかな手順としては、以下の3つのプロセスで進めます。
一つずつ、詳しく解説していきますね。
①古いオイルを排出する(抜く)
いきなりオイルを抜く前に、まずはエンジンを暖気します。暖機でエンジンオイルが温まることによりオイルが柔らかくなるため、排出(抜くの)がとても楽になります。
ただし、走行直後でエンジンが熱くなっている場合や、長時間暖機をすると、オイルが熱くなり過ぎてやけどする危険がありますので、注意してください。
暖機しなくてもオイルは排出できますので、「少し温まったな」という程度で構いません。暖機する時間は、アイドリング状態で2分間~5分間程度が目安です。
作業時の気温にもよりますが、「なつふゆニーゴー(夏場2分、冬場5分)」が目安と覚えておきましょう。暖機が終了したらエンジンをオフにします。
※暖機するときは、排気音が周囲の迷惑にならないような場所で行いましょう。上記写真はイメージ写真です。
ドレンボルトを緩める前に、オイルを受ける廃油ボックスを設置しましょう。廃油ボックスの中には吸収力の高い綿のようなものが詰められています。
ポイントとしては、少しほぐして形を整えることで、まんべんなくオイルを受け止めやすくなります。
ドレンボルトを外して古いオイルを排出します。ボルトをなめないように、メガネレンチを使いましょう。
ボルトのサイズに合った工具を使います。繰り返しますが、17mmレンチですよ。
最初に工具で少し緩めたら、その後は手で回しながら外すようにします。
ドレンボルトを完全に外し、エンジンオイルを抜きます。ボルトを外した瞬間、勢いよくオイルが排出されてきますので、やけどや汚れに気を付けてください。 オイルが抜けるまで、しばらく待ちましょう。
この時、車体を揺すったりせず、自然にオイルが排出されるのを待ちましょう。15分も30分も待つ必要はありません。
5秒間に1回、ポタリとオイルのしずくが垂れるぐらいになったら頃合いですね。不安な人は、下の写真のような状態になるまで待ちましょう。
専用工具のフィルターレンチを使って、オイルフィルターを緩めます。少し緩んだら、これも手で回しながら外していきます。
フィルターからもオイルが排出されますが、すでに十分抜けているので、出てくる勢いは弱いです。
※フィルター交換しない場合は省略可能です。
外してみると、YAMAHA純正オイルフィルターの型番の記載があるので、一応紹介しておきますね。
型番:5GH-13440-61
ちなみに、タイ製(MADE IN THAILAND)でした。
これでオイルの排出が完了です。次は、新たなオイルの注入です。
②新しいオイルを注ぎ入れる
オイルが十分に抜けきった後は、新品のドレンボルト・オイルフィルターに交換しましょう。
この時、ワッシャーは毎回必ず新品にしておきましょう。外した時と逆の手順でつけていきます。
はじめは手でゆっくり回しながらはめ、最後は工具でしっかりと締めつけましょう。注意点としては、あまりきつく締め過ぎないことです。
外れた時と同じチカラ加減で締め付けるのがポイントです。厳密には締め付けトルクというものが存在しますが、慣れてしまっているので感覚で作業しています。
新品のエンジンオイルを注ぎ入れます。通常時は2.3L、オイルフィルター交換時は2.6Lです。
オイルを注ぐ勢いが強すぎると溢れてきてしまうので、ゆっくりと慎重に作業しましょう。
ここではじょうごと軽量カップを使った簡易的な手順を紹介しましたが、最近は次のような水差しを使って作業しています。
これも100円ショップで入手可能な便利グッズです。ちなみにこの赤いオイルは、YAMAHA純正オイルの最上位「ヤマルーブ RS4GP」です。
規定量の新品オイルを注ぎ入れたら、キャップを手で仮締めしましょう。
この後の点検プロセスで、また外すことになるかもしれません。ですから、工具をつかっての本締めはまだしません。
これでオイルの注入が一旦完了です。次は、オイル量のチェックです。
③オイル量を点検する
まずはエンジンをスタートさせ、オイルをエンジン内に行き渡らせます。このとき、ボルトやフィルターの隙間から、オイルが漏れていないかどうか確認します。
オイル漏れがある場合は、すぐにエンジンをオフにします。エンジンの音などにも気を配りながら、何も異常が見られなければ、エンジンスタートから2~3分経った後にエンジンを切ります。
オイル点検窓(オイルレベルゲージ)を見て、適切なオイル量になっているか点検します。
このとき、バイクを水平状態(サイドスタンドを払い、バイクを立てた状態)にしたうえで、オイル量をチェックします。サイドスタンドをかけたままでは、適正なオイル量を見ることはできませんので注意しましょう。
オイルレベルが、オイル量上限(アッパー)と下限(ロウアー)の間にきていたら正しい量です。以下の写真でわかるとおり、点検窓には上限と下限を示すラインがあるのがわかりますね。
もし下限を下回る場合は、キャップを開けて少しオイルを足し、また点検します。まだ足りない場合、適正量になるまでこれを繰り返します。もし上限を超えている場合は、逆にオイルを少しずつ抜いていく必要があります。
オイルを抜くのは現実的ではないため、多めよりは少なめの方がまだ作業しやすいです。不安な人は、気持ち少なめぐらいの意識を持つのがよいでしょう。
オイル量が適正であることを確認したら、仮締めしていたキャップを本締めしましょう。プライヤー等の工具を使って軽く締めてあげればOKです。 走行中に緩まない程度でよいので、あまり強く締め過ぎる必要はありません。
これを忘れると、走行中のオイル漏れの原因になりますので、気を付けましょう。(と言ってる僕も、一度だけ忘れてしまったことがあります…)
ここまでの3つのプロセスがすべて完了すれば、作業は終了です。
MT-07のオイル交換で得られる体感効果
MT-07のオイル交換で得られる効果についても紹介しておきます。
①ギアチェンジがスムーズになる
一般的に、オイル交換をするとギアチェンジがスムーズに感じられます。カチ、カチっと気持ちよくギアを切り替えるのは、バイクの楽しみの一つですよね。
②寿命延長・故障予防・燃費維持
一般的に、適切なオイルメンテナンスは故障を予防し、本来の燃費を維持してくれるのに役立ちます。適切なタイミングでしっかりとオイル交換していれば、結果的に寿命を延ばすことにもつながります。
定期的にしっかりオイルメンテナンスをしているおかげか、僕のMT-07の燃費はメーカー公称値を上回る25.57km/Lを達成しています。MT-07の燃費について詳しくまとめた記事もあるので、気になる人は以下をチェックしてみてくださいね。
ヤマルーブ プレミアムシンセティック MA2 10W-40のインプレッション
この記事で紹介した「ヤマルーブ プレミアムシンセティック MA2 10W-40」に関するインプレッションを紹介しておきますね。
僕はいつも4,000km前後でオイル交換していますが、交換のたびにエンジンの吹き上がりが良くなるのを感じます。ギアの入りも確実に良くなり、軽い力で簡単にシフトチェンジが決まります。
基本的にこの「プレミアムシンセティック」を愛用していますが、一度だけ最上位の「ヤマルーブ RS4GP 10W-40」に交換したことがあります。しかし、僕のようなツーリング主体の乗り方であれば、ほとんど違いは感じられませんでしたね。
熱ダレにも強く、4,000km前後であれば性能劣化もほとんど感じられないので、安心して1週間単位のロングツーリングにも出られます。全体的に上質な走行フィールを実感できますよ。
まとめ:MT-07のエンジンオイル交換は簡単!
ここまで、MT-07のオイル交換について必要な道具や具体的な方法・手順を紹介してきました。思ったよりも簡単だと感じていただけたのではないでしょうか?
必要な道具と手順さえ間違わなければ、誰でも簡単にできるメンテナンスなので、ぜひ本記事を参考にオイル交換にチャレンジしてみてください!
オイル交換の他に、MT-07のレバー交換・ヘッドライトバルブ交換に関する方法・手順なども以下の記事で紹介しています。あわせてチェックしてみてください。