バイクのオイル交換を自分でやってみようとして、どのエンジンオイルを選べばよいか悩んでしまったことはありませんか? そこで今回は、オイル種類やグレード等の言葉の意味も踏まえつつ、わかりやすいエンジンオイルの選び方を解説します。
あなたのバイクにぴったりのエンジンオイル選びにお役立てください。
※ここでは、4ストロークエンジン向けオイルを前提としています
バイク用エンジンオイルの選び方
バイクのエンジンオイルを選ぶときに最も大切なことは、「オイルの特性が自分のバイクの使用シーンと状態に見合っているかどうか」です。もしエンジンに見合わないオイルを使っている場合、エンジントラブルの原因になります。
あなたのバイクの排気量やエンジン特性、使用シーンに応じて「最適なオイル」は違うので、以下で解説する点を踏まえて最適なオイルを選びましょう!
バイク用エンジンオイルの特性・性能の見方
バイクのエンジンオイルの特性・性能は、大きく「JASO規格」「粘度」「ベースオイル(油種)」の3つで見ることができます。
JASO規格とは?
JASO規格とは、日本自動車規格(Japanese Automobile Standards Organization)によって定められた、エンジンオイルの摩擦特性を表す規格です。「MA」「MA1」「MA2」「MB」の4つの規格があります。
MA | 高い摩擦特性を持ち、せん断安定性が高く主にMT車に使用される |
---|---|
MA2 | MAの摩擦特性の範囲で粘度を高めにしたもの |
MA1 | MAの摩擦特性の範囲内で粘度を低めにしたもの |
MB | 摩擦特性が低く、主にスクーターに使用される |
MA規格は高摩擦特性で滑りにくい、MB規格は低摩擦特性でよく滑るという特徴を持ちます。
MT車のバイクは、ミッションやクラッチ等もエンジンオイルで潤滑されるので、クラッチ滑りを起こさないために摩擦特性が高いMA規格が推奨されます。
逆に、エンジンだけを潤滑するスクーターは、摩擦特性が低いMB規格が使用されることが多いです。
原則として、あなたのバイクがMT車の場合はMA規格、スクーターの場合はMB規格を選んでおけば間違いありません。
オイル粘度とは?
粘度とは、そのオイルが持つ「かたさ/やわらかさ」を表すものです。オイル粘度は、エンジン始動性や燃費、走行パフォーマンスに影響します。
オイル粘度は、「10W-30」「10W-40」などのように「○○W-○○」という形で示されます。これは、SAE粘度分類という国際規格で、どのエンジンオイルにも表記されています。
オイル粘度の見方は、次のとおりです。
左側の数字は低温時の粘度を表し、右側の数字は高温時の粘度を表します。低温時粘度の数字が小さいほど寒さに強くなり、冷間時のエンジン始動性やオイルの動きがよくなります。高温時粘度の数字が大きいほど熱さに強くなり、高負荷走行に耐えやすくなります。
「マイナス30℃の日でもバイクに乗る!」という人以外は、日本国内で普通に使用する限り、低温時粘度を気にする必要はありません。それよりも、高温時粘度に注意を払うべきです。高温時粘度が高いということは、それだけ粘り気のある硬いオイルということです。
硬いオイルよりも柔らかいオイルの方が、エンジンの動きがスムーズになり、燃費向上に貢献します。また、総走行距離の長いバイクは、エンジン内部の隙間が大きくなっているため、油膜の強い硬いオイルが適しています。
低温時粘度と冷間始動時の外気温の関係について
冬場マイナス20度以下に冷え込むような寒冷地に住んでいる人は、低温時粘度と冷間始動時の外気温の対応関係についても知っておいたほうがいいでしょう。
下表は、低温時粘度0W~20Wまでの、冷間始動(コールドスタート)できる外気温の目安を示したものです。
低温時粘度 | 外気温目安 |
---|---|
0W | -35℃ |
5W | -30℃ |
10W | -25℃ |
15W | -20℃ |
20W | -15℃ |
平地や温暖な地域に住んでいる人には、あまり関係のない話なので気にしなくても構いません。
ベースオイル(油種)とは?
ベースオイルとは、エンジンオイルの大部分を占める油のことです。そのほか、添加剤等の成分と合わせてエンジンオイルは構成されています。ベースオイルには大きく、「鉱物油」「化学合成油」「部分合成油」の3つがあります。
鉱物油 | 原油を蒸留して精製したオイル。比較的安価なオイルだが、分子構造にバラツキがあり性能は高くない。 |
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化学合成油 | 高度な技術で可能な限り不純物を取り除き、化学的に合成したオイル。耐熱性や潤滑性などに優れ性能が高い反面、製造の手間がかかるために高価。 |
部分合成油 | 鉱物油と化学合成油をバランスよく配合し、2つの良いとこ取りをしたオイル。性能面・価格面のバランスに優れ、コストパフォーマンスが高い。 |
性能・費用ともに「化学合成油 > 部分合成油 > 鉱物油」という関係にあります。どのベースオイルを選択するかは、エンジンオイルにかけられる予算との兼ね合いで、あなたのお財布と相談して決めましょう。
あなたにぴったりのオイルを見極めよう!
バイクの特性や使用シーンに見合っているか
自分のバイクに最適なオイルを選ぶには、あなたのバイクの特性や使用シーンについて考えることが大切です。具体的には、あなたが普段バイクを使っている姿をイメージしながら、以下のどれかにあてはめてみてください。
使用シーン | おすすめのオイル |
---|---|
主に通勤・通学の日常使いで街乗り中心。バイクの性能より燃費向上の方に関心がある。 | 燃費重視のあなたには、高温時粘度30のオイルがおすすめ! |
ツーリングで峠道などにもよく行く。極端に負荷のかかる運転はしないが、街乗り以外にも適度なスポーツ走行も楽しみたい。 | パフォーマンス重視のあなたには、高温時粘度40のオイルがおすすめ! |
サーキットによく行く。レッドゾーン手前まで回転数を上げるのはもはや日常だ。 | マシンの性能を限界まで引き出したいあなたには、高温時粘度40~60の最上級オイルがおすすめ! |
国内バイクメーカーが販売しているエンジンオイルのラインナップを見ると、「10W-30」または「10W-40」がほとんどです。
燃費重視の方は、「10W-30」のオイル、スポーツ走行も楽しみたいパフォーマンス重視の方は、「10W-40」のオイルを選ぶのがよいでしょう。
サーキット走行を日常的に楽しみたい方は、各社が販売しているラインナップの中で最もグレードの高い最上級オイルを選ぶのがよいでしょう。
なお、あなたのバイクの総走行距離が5万km~10万kmを超えている場合は、上記でおすすめした粘度よりもう一段上の粘度を選択するのがよいでしょう。
ベースオイルの品質選び
バイクの特性や使用シーンを考えることで、あなたにぴったりのオイルの粘度がわかりました。次に考えるべきは、ベースオイルの品質選びです。
繰り返しますが、ベースオイルの品質と費用は、「化学合成油 > 部分合成油 > 鉱物油」の関係にあります。
ベースオイル選びにおいては、あなたのバイクの性能を踏まえて検討する必要があります。
例えば、YZF-R1やCBR1000RRなどの高性能SSバイクのエンジンには、それ相応の高品質オイル(化学合成油)が求められます。
一方で、通勤の足として使うスクーターなどには、そこそこの品質のオイル(鉱物油)を使用するという人も多いのが現実です。
ベースオイル選びには正解はありませんが、次に紹介するおすすめ製品と解説なども参考にしながら、考えてみてください。
まとめ:規格・性能の見方を理解して最適なオイルを選ぼう!
以上、エンジンオイルの選び方ついてお伝えしてきました。
自分のバイクに最適なオイルを選ぶためには、バイクの特性や使用シーン、状態・性能を押さえたうえで比較・検討する必要があります。
この記事を参考に、ぜひあなたのバイクにぴったりのエンジンオイルを見つけてみてください!