2020年夏、北海道の絶景をバイクで巡る9日間の旅に出ました。日本海沿いのシーサイドライン、野性味あふれる道東の道など、ライダーなら一度は走りたい絶景ロードの数々を走破。そんな感動体験を、一眼で撮影した高精細写真とともにレポートします。
Day2では、大雪原生林の大自然を眺望できる絶景道「糠平国道(三国峠)」、空に向かって飛んでいくような「希望橋」、青い池などで有名な「美瑛川」などを巡りました。
それでは、北海道を巡る絶景ツーリング紀行、Day2のはじまり はじまり
Day2の主な旅程
朝の支度と出発
朝の五時、爽やかな太陽の光で目が覚める。
目覚まし時計無しでこんなに早起きしたのは久しぶりな気がする。
太陽が沈んだら寝て、昇ったら起きる。都会生活で失っていた自然のリズムが戻ってくる。こうした人間本来の自然な感覚を思い出させてくれるのも、キャンプの醍醐味の一つだと思う。
テントから這い出て辺りを見渡す。水分を含んだ緑の芝生が陽の光に照らされて美しい。
朝食を簡単に済ませたら、出発だ。
三国峠
まず、糠平国道(国道273号)を北上し、三国峠を目指す。片側1車線の道路だが、道幅が広くよく整備されていて走りやすい。直線と緩やかなカーブが続く、北海道随一のワインディングだ。
壮大な原生林の中を駆け抜ける道程の途中に、白樺並木の爽やかな景色も見られる。
標高1150mの三国峠からは、眼下に広がる原生林の景色が望める。峠にはお洒落な雰囲気なカフェもあるので、一息つくのにちょうどよい。
峠の駐車場スペースからの景色も十分美しいが、少し南下した場所からはまさに絶景が望める。雄大な大自然と、その中でひと際目立つ赤い松見大橋のコントラストが感動的で、一面の大パノラマに圧倒される。
ただ、この日は雲が出ていて空がどんよりしているのが少し残念。
※Day9で再訪し晴れの日に再度撮影した
糠平国道は走っていて終始気持ちのよい道路だが、一つだけ注意するべきことがある。それは、鹿・キツネ・熊などの動物の飛び出しだ。
僕もこのとき実際に危険な思いをしている。糠平国道を走っている途中に道路を横断している鹿がいて、あわや事故になるところだった。
三国峠を越えて北上を続けると、トンネルを抜けた先に大雪湖がある。大雪ダムの建造に伴ってできた人造湖だ。
さらに北へ進むと交差点に行き着き、国道39号と合流する。国道39号を西へしばらく進むと、観光地「層雲峡」にたどり着く。
層雲峡
層雲峡は、上川町にある峡谷で、北海道有数の規模を誇る温泉街としても有名だ。柱状節理の断崖を間近に見ることができ、目の前の絶景に思わずバイクを停めたくなる。
ちなみに、柱状節理とは火山活動によって噴出したマグマが冷え固まる時などに形成されるものだ。上の写真で言うと、柱のようになった規則性のある割れ目の部分を指す。
層雲峡の柱状節理は、約3万年前の大雪山の噴火によって生じたものだそうだ。3万年前の火山活動が、いまこうして僕たちの目の前に絶景を作り出していると思うと、自然に対して畏敬の念を抱かざるを得ない。
層雲峡を超えると山間部を抜け、平野へと出る。山から見える大パノラマもいいが、こうした美しい日本の風景もまた格別だ。
このあたりで、ガソリン残量が少なくなってきたので給油。北海道に来たらやっぱりホクレン、そして隣接していたセイコーマート(セコマ)。
北海道では、ガソリンスタンドはホクレンを、コンビニはセコマを利用して地元にお金を落とそう。セコマは純粋に商品のクオリティが高く、キャンプ飯も手軽に手に入るのでおすすめだ。
実際に僕もこの日以降は、セコマのヘビーユーザーとなっていった。
上士幌から140kmほど走り続けてお腹が空いたので、「道の駅 とうま」で昼食をとる。最初、そばが食べられるお店に行こうと思っていたが、美味しい匂いにつられて気づけばカレー店に入っていた。
カツカレーを注文したところ、なんと驚いたことに、カレーの海を泳ぐお魚カレーが出てきたではないか!
写真はないが、店内は落ち着いた雰囲気で新型コロナ対策もばっちりな印象を受けた。カレー屋というよりは、喫茶店の雰囲気に近い。コーヒーの種類が豊富なので、お好みの一杯が見つかるはずだ。
コーヒーとカレーの店 『MERB(マーブ)』
どさん子の粋な計らいに心がほっこりしつつ、味も素晴らしいカレーをほおばる。名残惜しさを感じながらも、店を後にした。次の目的地は、「希望橋」だ。
希望橋
国道39号をさらに西へ進んで旭川を経由し、国道237号を美瑛に向かって南下。それから道道966号にうつり、美瑛川を上流するように進んでいく。
美瑛川と言えば「青い池」が有名だが、こちらの「白ひげの滝」もまた有名だ。コバルトブルーの川と白い滝のコントラストがとても美しく、自然が作り出した奇跡を感じる。
ちなみにこの滝、上方の水源から流れ落ちてきているように思っていたら、実はそうではない。十勝岳連峰の地下水が、溶岩層の割れ目から流れ落ちているそうだ。つまり、地下水源から染み出した水が高さ約30メートルの場所から落ちてきているのだ。こうした滝を「潜流瀑(せんりゅうばく)」と言って、日本でも珍しい滝だそうだ。
道道966号をさらに進んだ先にある希望橋からは、あたり一面を展望できる絶景が広がる。
まるで空中を走っているような感覚が味わえ、その名のとおり明るい未来へ突き進んで行けるような気持ちになれる。
希望橋、いい名前だ。
富良野
希望橋を渡りそのまま進んでいくと、上富良野町へと出る。夏の富良野と言えばラベンダー畑が有名。上富良野町を通る道道291号は通称ラベンダーロードと呼ばれ、約7kmに渡って道沿いにラベンダーが植栽されている。
鮮やかな紫色とハーブの香りに心を和ませながら、本日の最終目的地へと向かう。
今夜のキャンプ地は、「星に手のとどく丘キャンプ場」。道内随一の人気キャンプ場で、事前の予約が必至だ。
キャンプ場併設のレストランでは、名物のジンギスカンが食べられるが、この日はすでに受付時間を過ぎてしまったので、キャンプ飯で自炊する。
今夜のメニューはお手軽グリーンカレー。クッカーで炊飯した白米に、温めたレトルトカレーをかければ完成だ。
ちなみにこのクッカーがかなり優秀で、キャンツーに行くときはいつもこれで調理しています。 信頼・安心の国内メーカー「snow peak」製の定番品で、コスパも最高ですよ。
ところで、このキャンプ場では名前のとおり、満点の星空が望めるという評判だったのだが、この日はあいにくの曇りで星を眺めることはできなかった。
ただ、そんなことは全く気にならなかった。ここまで見てきた風光明媚な景色がとても感動的で、僕の心は充実感に満ち溢れていた。
Day2 の走行距離 : 232km